【開業に至るまで】

歯科医師を目指されたきっかけについて教えてください。

父親が歯科医師でしたので、幼い頃から自然と歯科医師になろうと思っていました。

卒業後の勤務先を選ばれたポイントを教えてください。

臨床研修を終えてすぐに勤務した歯科医院は4カ月ほどで退職してしまいました。理由は院長先生の専門が小児歯科だったことと「見て覚えろ」というスタンスだったことです。想像していた歯科医院とは違うと感じましたし、方針などが私とは合わず、退職に至りました。その後、転職先を探しているときに医療法人不二見会の理事長先生と出会いました。「うちはきちんと一から教える教育環境だよ」と言われ、見学させていただいたところ、卓越した治療技術を目の当たりにして共感をしました。理事長先生にも「やる気があるなら一人前のドクターになれるよう指導する」と言っていただけたので、再就職先として決めました。

開業しようと決断したのはいつですか。

不二見会に勤めて5年ぐらいが経った頃に、父が脳腫瘍で亡くなりました。実家の歯科医院を継承することも検討したのですが、患者さんの数も減っていましたし、その環境では継承しても難しいと思い、新たな場所で開業することを考えるようになりました。それで理事長先生に退職の意志を伝えたところ、理事長先生から「私が持っている4つの歯科医院のうち、君が分院長をしている1つを買い取らないか」と提案されたのです。分院長として頑張っていた歯科医院でもあり、全てを一から始めるよりも開業資金をかけずに済みますし、有り難く継承させていただきました。

開業前に一番不安だったことはどのようなことですか。

スタッフはそのまま雇いましたので、人材面は特に困りませんでした。ただ、歯科医院名を変更したことに加え、以前は土日休診でしたが、土日も診療するように変えたので、それらを地域の方々に認知してもらえるまで時間がかかるのではないかということが少し不安でした。開業当初の患者数は1日に5、6人だったのですが、一人一人に時間をかけて説明するようにしていたところ、口コミが広がったのか、患者さんも少しずつ増えていき、軌道に乗っていったように思います。

開業後、理想と現実のギャップを感じた瞬間はありましたか。

まずは私一人が責任を持たないといけないという責任の重さを実感したことです。それから経営者にとってやるべき事務作業が思いのほか多かったこともギャップを感じました。分院長時代の時は売上などのチェックはしていたのですが、経営するにあたり必要な事務手続きに関しては全くやってこなかったので、慣れるまでは大変でしたね。今もほとんど自分でしているのですが、規模が大きくなってきたので、アウトソーシングできるところは非常勤の事務長にお任せしています。