歯科経営者に聴く - 医療法人社団 パレス会 わだ歯科 和田典也 院長(後編)

歯科経営者に聴く(後編)

~第一線で活躍する院長から学ぶ~

医療法人社団 パレス会 わだ歯科 外観

 東京都八王子市は東京都の23区を除いた自治体の中では最大の都市であり、JR中央線、八高線、横浜線が通る八王子駅は1日に7万人以上の乗降者数を誇る多摩地域の最大のターミナル駅である。

 わだ歯科はその八王子駅から徒歩10分のマンションの1階に位置する。わだ歯科では「食べることは生きることそのもの」と捉え、歯と口腔のトータルケアにより、患者さんがより快適に日常生活を送れるようサポートしている。

 今月は先月に引き続き、わだ歯科の和田典也院長にお話を伺った。

和田 典也 院長

医療法人社団 パレス会 わだ歯科 和田 典也 院長

【プロフィール】

  • 1968年 北海道 生まれ
  • 1994年 北海道大学歯学部 卒業
  • 1994年 埼玉県内の一般歯科医院 勤務
  • 1999年 わだ歯科 開院
  • 2004年 医療法人社団パレス会 開設

【理念・治療スタイル】

経営理念を教えてください。

診察室の様子

人生において「食べることは生きることそのもの」と考えています。開業当初からキュア(Cure:体にやさしい治療)とケア(Care:虫歯や歯周病の予防)、セキュア(Secure:安心・確実)な医療の充実に貢献することを大切にしています。また、治療、技術の向上に取り組む圧倒的な勉強量をスタッフ皆で誇ろうと呼びかけています。色々な側面から勉強し、学ぶことで、患者さんへの選択肢を増やせると思っています。

ほかの歯科医院との差別化についてお聞かせください。

新型コロナウイルス対策として、ミーレの高性能洗浄器を導入し、消毒滅菌にさらに力を入れています。

開業や運営するうえでの苦労話、ピンチなどはありましたか。

スタッフ教育や管理が大変でした。実は以前、治療方針を掲げた際、なかなか意見が合わず、結果的にスタッフ全員が退職してしまったことがあったのです。パワハラやセクハラではないことは声を大にして言わせてください(笑)。そのとき、スタッフとのコミュニケーションの大切さがいかに大事かということを実感しましたね。そのため、現在は勉強会を含めて、個別指導などの教育をしながらコミュニケーションを取っていくことを意識しています。

患者さんからはどのような問い合わせが多いですか。

「歯を抜いた方がいいのか、抜いた場合はそのあとどうするのか、先生の考えを聞かせてほしい」といった問い合わせが多いです。そして、そのままインプラント治療や審美治療に移っていくケースが増えています。

どのような増患対策を取っていますか。

最近はSNSです。以前は口コミしかなかったので、便利になったと感じています。

【スタッフ採用・教育】

スタッフが働きやすい環境づくりのために注意されていることはありますか

待合室の様子

以前はスタッフ全員で勉強会をしていたのですが、現在は歯科医師、歯科衛生士など、職種に限らず、個別に指導をしています。どちらかと言うと、歯科衛生士に対して割く時間の方が長いかもしれません。例えばスタッフが4人いたとして、4人一斉に1時間かけて話すよりも、1人ずつに15分でも個別で話した方が育成しやすいと考えています。苦手なことを一緒に乗り越えていくということが個別指導の良いところですね。
スタッフそれぞれがしたいことができるようになることでスキルアップになり、スキルアップをすることで診療効率が上がるので、結果的に働きやすい環境づくりに繋がります。お昼休みにわいわいと皆で食事することも良いのですが、静かに過ごせる真面目な歯科医院というのもいいものだし、落ち着いた歯科医院は過ごしやすいはずです。また、トップがいかに勉強し、スキルアップしているか、そして新たに学んだことをスタッフにも指導しているのかというのも大事だと考えています。

【今後の展開】

今後の経営の展開について、お聞かせください。

現在、保育所や学校の健診、訪問診療をしているのですが、「ゆりかごから墓場まで」ではないものの、患者さん一人に対してどれぐらい長く歯科を通して関わることができるのかと考えています。虫歯一つを治療して「はい終わり」というのは違和感があります。一人一人を長い目で見ながらお付き合いできる歯科医院として、さらに地域に根づかせていきたいです。

【開業に向けてのアドバイス】

転職・開業を考えておられる先生方へアドバイスをお願いします。

診察室の様子

患者さんのニーズも時代によって変わりますし、社会も変わります。だから自分たちも学びながら成長していかないといけないわけですが、歯科治療のベースは変わらないのです。例えば根管治療するにしても機械や道具、アプローチの仕方は変わっても、最終的な形は一緒です。歯を抜くにしても、色々な器具や処置が増えていますが、抜くということは変わりません。したがって、皆さんが転職、開業したとしても歯科治療のベースをしっかり勉強し、身につけていれば、働く場所が変わっても大丈夫です。若手の先生はまずベースを固めていくことが一番大事なことだと思います。

【プライベート】

院長の趣味、余暇の過ごし方について、お聞かせください。

以前は車、旅行、グルメなど、色々な趣味があったのですが、今は落ち着きました(笑)。たまにお酒を嗜むのが楽しみになっています。焼酎と日本酒を少しずつ味わいながら飲むのがいいですね。特に特別な日にお刺身をつまみながら飲むのが好きです。そういったゆったりとした時間の過ごした方が一番落ち着ける時間です。

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