フリーランス歯科衛生士インタビュー
丸橋理沙さん 第6回 「後輩の歯科衛生士へのメッセージ」
プロフィール
- 1984年に大阪市で生まれる。
- 2006年に新大阪歯科衛生士専門学校を卒業後、伊藤歯科医院に入職する。
- 2010年にアメリカで研修後、フリーランスの歯科衛生士となる。
今後の展開
プライベート
後進へのメッセージ
歯科衛生士専門学校の学生のうちにすべきことはどんなことでしょうか。
卒業後にもっと勉強しておけば良かったと思うのは学生が嫌いな科目、歯科解剖学、微生物学、病理学ですね。本当に患者さんを治そうと思うと、歯科解剖学で個人の歯の形態や歯の組織を勉強する必要があります。微生物学は細菌の特徴、それによって、どういう状態が引き起こされるのか、いつ増殖するのか、どうすれば細菌が死ぬのかを学びますが、細菌が原因で病気になるわけですから、必要な勉強です。歯科衛生士は組織切片を診たりしますが、その際には病理学の知識が求められます。 これらは難しいので、歯科衛生士学校では嫌がられていますし、単位を落としてしまうことも多いです。でも現場では技術はやればできるようになりますが、こういった知識があるかないかでは全く変わってきますので、頑張って勉強しておきましょう。
フリーランスを目指すにあたって、何をマスターしておくべきでしょうか。
ニッチなところですね。一点、自分の得意なところを極めましょう。一番の需要は本当の基本治療ができること。これができると、歯科衛生士としての価値が高くなります。
私はワンブロックずつ基本治療をするのですが、これができたら3万円をいただいてもいいと思っています。私は麻酔も入れず、歯茎も開けないで、8ミリぐらいの深いところの病気を治しています。普通の歯科衛生士はしないし、できないことなんですね。でも、皆にできるようになってほしい。
歯科医師なら麻酔を打ち、歯茎を開けて処置しますが、患者さんはその治療に10万円を払います。それと比べたら、麻酔を打たず、メスも入れずに、その日のうちに痛みがなくなるのなら、こちらの方がいいでしょう。「3万円ですが、どうですか」と聞かれたら高いと思われても、「この処置とこの処置、10万円と3万円、どちらがいいですか」と聞かれたら、患者さんは3万円を選びますよね。
基本を飛ばして、アドバンス的な特別なことをしようとすると失敗しますよ。iPS細胞技術で、歯を抜いたところにまた歯が生えてくる時代になったら変わることがあるかもしれませんが、ここ100年の歯科は何も変わっていません。だからこそ、基本が一番大切なんです。
認定歯科衛生士を目指すべきですか。
私は必要ないと思います。持っている人の数が多すぎて、何の価値があるのか、よく分からないからです。
取得費用も交通費も歯科医院が負担して、取りに行くために休みをもらって取ったとしても、全く意味がないと思っています。だから、私はスタディグループにも所属していないし、認定も何も持っていません。敢えて取らないでいこうというスタンスです。
資格を持っていなくても、結果を出せばいいんです。逆に私が資格を取ってしまうと、資格がないと駄目なんだと思う人が出てくることが心配ですしね。
若い歯科衛生士へのメッセージをお願いします。
結果を出せるようになれば、歯科衛生士は楽しい仕事です。自分のライフステージが変わったとしてもずっと働けて、必要とされる職業です。そのためにも自分の価値が上がるように、スキルを上げてください。