フリーランス歯科衛生士インタビュー
丸橋理沙さん 第3回 「フリーランスとして、臨床の現場に立つ」
プロフィール
- 1984年に大阪市で生まれる。
- 2006年に新大阪歯科衛生士専門学校を卒業後、伊藤歯科医院に入職する。
- 2010年にアメリカで研修後、フリーランスの歯科衛生士となる。
フリーランスとしての勤務
現在、勤務している歯科医院での仕事内容を教えてください。
京都のデンタルクリニックTAKANNAで、基本治療とメンテナンスをしています。
通常は9時出勤のところ、私は10時からにしてもらっています。1人の患者さんに1時間の枠を取っていただき、1日約8人の患者さんを診ます。
担当の患者さんの診療が終わったら、帰ります。
臨床は経験になりますし、患者さんの治療はずっとやっていきたいですね。給与面もとても良心的です。
この歯科医院では歯科衛生士を募集しています。
私も人材を育てていきたいので、一緒に働いてくださる方のご応募をお待ちしています。
常勤の歯科衛生士の仕事とは違いますよね。わだかまりはないですか。
常勤の歯科衛生士との違いは、片付けなどもせず、自分の患者さんが終わったら帰ることです。
周りも分かっているので、特に問題はありません。
「私とこの人の差は何だろう」というぐらいの差だと文句を言う人も出てくるかもしれませんが、「出過ぎた杭は打たれない」(笑)。
企業と仕事をしているし、セミナーの講師でもあるとなると、私とは違うと思ってもらえるようです。
しかし、「私はフリーランスだから」と偉そうにしていると、協調できなくなります。
だから私も皆が困っていることがあれば助けるし、聞かれたことは教えますよ。でも、こちらから無理には教えません。
外国人の患者さんもいらっしゃいますか。
京都ですから、よく来られますね。大学の教員の方や旅行中に突然、歯が痛くなった方が多いです。
私の英語力も活かすことができています。
烏丸は良いエリアですし、デンタルIQが高い患者さんがほとんどですね。自費診療ですし、デンタルIQが高い患者さんでないと、歯科衛生士がどんなに良いことをやっていても分かっていただけません。
とは言え、私は地方でもセミナーをしていますし、私がレクチャーしたことを実践している歯科衛生士は地方にもたくさんいます。
都会や地方の差はなく、あくまでも話のもっていき方ですよね。でも、私自身はセミナーやプレゼンテーションの資料を作るために多くの症例が必要なので、症例の多い地域で臨床をしたいと思っています。
次の職場に移るタイミングをどう考えていますか。
ずっと今の歯科医院でいいと思っています。フリーランスでも同じ歯科医院で同じ患者さんをフォローすることは大切です。
フリーランス歯科衛生士の中には臨床をしない人やいわゆるセミナー屋さんも少なくありませんが、私はそういう働き方はしたくないんです。
セミナーなどでの受講生が悩み事の相談や質問をしてきたときに、自分が臨床をしていなければ答えられません。
これができない人はセミナーをしてはいけないでしょう。
伊藤院長は65歳を過ぎた今でも治療をされていますし、「臨床を辞めるときがセミナーを辞めるときだ」とおっしゃっています。
歯科医院内での人間関係をどう構築していますか。
押しつけがましいことはしないようにしています。
職場は学校ではないので、仕事が終われば早く帰ればいいのにといつも思っています。
日本的な助け合い精神も大切ですが、誰か一人が終わっていなければ全員でずっと待つみたいなところが多々あります。
そのくせ終わるのが遅いとか文句が出ますが、文句を言うくらいならば、帰ればいいんです。
歯科衛生士はよく「○○ちゃんがどうのこうの」と言いますが、歯科医院には友達を作りに来ているのではありません。
その人がどんな性格でも、一人の仲間であり、スタッフなので、仕事が円滑に進むことを考えた方がいいです。そういうことをごたごた言っていると、就職先はないですよ(笑)。
私は皆で働いていても、文句を言うことはありませんし、こちらから押しつけるように教えたりもしません。
相手が聞いてきたことを教えるといった感じで、聞いてくるまでは何も言いません。
押しつけで、偉そうに教えなくても、私を指名する患者さんが増えたり、色々な面で結果を出しているのを身近で見ていると、「こういうときはどうしたらいいのですか」と自然に聞いてくるようになります。
そのときには丁寧に指導するようにしています。