歯科経営者に聴く - 医療法人メイ・ロイヤル 菅原義文 理事長

歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

医療法人メイ・ロイヤル 菅原義文 理事長

医療法人メイ・ロイヤルは、神奈川県内で5つの歯科医院を展開・経営している法人グループです。本院の古淵駅前歯科クリニックはJR横浜線古淵駅前にあり、他の分院もJR横浜線や南武線、小田急線、東急線の駅前におかれている。
この医療法人メイ・ロイヤルを牽引する菅原義文理事長は現在48歳、歯科医師としてだけでなく、経営者としてのキャリアを積み重ねられてきた。菅原理事長は「普通に診療するだけ」と言う。駅前という立地のため、20~40歳代の年齢層の患者さんが多く、要望は千差万別、多種多様に及ぶ。「患者さんの訴えを聞いて、それに対応するのが重要」と話す菅原理事長にお話を伺った。

医療法人メイ・ロイヤル 菅原義文 理事長

医療法人メイ・ロイヤル 菅原義文 理事長

プロフィール

  • 1959年に東京で生まれる。
  • 1988年に東京医科歯科大学を卒業後、3軒の歯科医院にて勤務医を経験し、1996年に古淵駅前歯科クリニックに入職。2000年に医療法人化する際に理事長に就任。2001年に百合ヶ丘駅前歯科医院を、2003年に相模大野駅前歯科医院と綱島駅前歯科医院を開業し、現在に至る。

勤務医から理事長へ

歯科医師になろうと思ったのはいつ頃でしょうか?

医療法人メイ・ロイヤル東京都内の都立高校に通っていましたが、医師になりたいと漠然と考えてはいましたけど、そこに何か深い理由があるというわけではありませんでした。ただ、大学進学を前にして医科を目指すか、それとも歯科を目指すか悩みました。実家は普通のサラリーマン家庭でしたし、手先も器用な方でしたから、歯科の方が向いているだろうと考えて、東京医科歯科大学を受験して無事入学することができました。

卒業後はどちらで勤務医をされたのですか?

もともとアルバイトしていた都内の歯科医院に入職しました。非常に患者数の多い医院で、毎日朝10時から夜の10時までユニットにつきっきりでしたね。その時の経験が染みついてしまったので、今でも長時間勤務するのは苦になりませんね。それが普通というか当たり前という感じでしょうか。

勤務医生活はいかがでしたか?

3軒の歯科医院に勤務しましたが、ただただ働いていましたね。実際、働くのがとても楽しかったですし、自分の技術を磨くのにも一生懸命でした。分院長も経験させていただいて、経営についても考えるようになったのもこの時期でした。

開業を考えはじめられたのですね?。

医療法人メイ・ロイヤル開業を考えはじめられたのですね?
同期の友人たちがちょうど開業しはじめた頃で、自分もそろそろ準備した方がいいかなと考えて、もう1軒くらい分院長を経験してから開業しようと思っていました。そんな時にたまたま手にした雑誌の求人コーナーに古淵駅前歯科クリニックの勤務医募集の3行求人広告が目にとまって、軽い気持ちで応募してしまったんです、本当に。それがこんなことになるとは全く思っていなかったんですけどね。

古淵駅前歯科クリニックで院長になられたんですね?

最初は普通の勤務医として入職して、それから時期をみて院長にクラスアップということだったのですが、入職した途端に当時の院長がなぜか退職してしまって、急遽院長をすることになりました。まずは患者さんに安心していただけるよう、必死になって診療しました。それもあって患者さんの数を減らさずにすみました。
なんとか息をつけたのはそれから3年くらいしてからでしたね。その後、2000年に医療法人化することになり、推されて理事長に就任しました。退職して開業することも考えましたが、個人で一から立ち上げるのではなく、理事長という立場で分院を立ち上げてグループ化するという経験は得難いものなので、よかったと思っています。

医療法人メイ・ロイヤルの経営

理事長になられてから分院展開を考えられたのですね?

開業ラッシュと診療報酬改定で歯科業界はこれからもっと厳しくなっていくことがわかっていましたので、自費に特化したり、グループ化でスケールメリットを得たり、何かしら特徴を出していかなければ生き残れないと考えていました。

順調だったのですね

とんでもない。綿密な調査をして、駅前に開業したにも関わらず、建物の構造や人の動線などが原因で予想以上に厳しい状況に追い込まれたこともあります。一度駅ビルの中に開業したことがありましたが、飲食店街の奥のテナントだったため、患者さんになかなか認知されず、結局閉めざるをえなくなりました。また方針として医院は全て駅近なのですが、それでもダメな場合もありましたよ。

現在は5軒ですね?

医療法人メイ・ロイヤル数も重要ですが、質が今後もっと重要になるということです。医療の質を向上させつつ、5軒の医院を連携させて、より地域に密着した医療を目指す、その上でさらにその地域にあった独自のカラーを持つ分院を展開するという方向性にシフト変更しました。同じ沿線であっても場所によっては患者さんの層がずれていたり、診療の内容・自費の割合などが違います。その地域の需要に合った診療を提供しつつ、勤務する医師の得意分野をアピールしていきたいと考えています。

医療法人の理念にもそれは顕れていますね。

そうですね、診療内容については一般歯科から予防に至るまで、最新の医療機器・技術で患者さんのあらゆるニーズに応えていきたいと思います。最終的にはその地域の医療の拠点となるのを目指していきたいですね。
そのために、朝8時から夜10時まで、年中無休の診療体制をとり、高齢者や体の不自由な方が車椅子のまま乗降できる無料送迎車を導入するなど、できるところから患者さんへのサービスを始めています。

現在の自費診療の割合はどのぐらいですか?

いたい15%程度です。一般保険診療がメインなのでこの程度かなと考えています。事務方からはもっと%をあげて欲しいと言われますけど、こればかりは患者さんと相談の上の話ですから。

競合はどのくらいあるのですか?

本院の古淵駅前歯科クリニックの場合、駅近でおよそ8軒ですね。JR古淵駅の1日の乗降者数は2万人ですので、その方たちをどれだけ取り込めるかが腕の見せ所でもあります。

増患対策はなにかされていますか?

とりたてて何もしていません。じっくり話を伺って、適切な診療を行なう、というスタイルが受けたのか、口コミで来院していただくケースが多いようです。ほとんどの患者さんがご家族も連れてきてくださるので大変ありがたいです。

スタッフ教育

スタッフ教育はどのようになさっていますか?

医療法人メイ・ロイヤルまずは常識的なところで、挨拶と言葉遣いをレクチャーしています。電話でも、受付でもまずは言葉の遣り取りからお付き合いが始まるわけですから、そこでいかに良い印象をもっていただけるかが大切です。その上で勉強会に参加してもらって各人のスキルアップを図ってもらい、さらに良質な医療をプレゼンテーションするように心がけています。

今後の経営の課題

今後の経営の課題について、お聞かせください。

まずは患者さんのCSをいかにあげていくかです。来院した患者さんの訴えをよく聞いてそれに対応する医療を提案・提供するということです。ごく当たり前のことですが、これがやはり一番大切です。古淵駅前歯科クリニックで急に院長になった時、リピーターの患者さんから感謝の言葉をいただいた際には、やっぱり自分のやってきたことは正しかったんだと思いましたので、これを広めていきたいですね。

開業に向けてのアドバイス

医療法人メイ・ロイヤル歯科医師になったのであれば自然に開業を考えるわけですが、天地人という言葉もある通り、そのどれか一つでも欠ければうまくはいかないのではないでしょうか。いつ・どこで・誰に・どのような医療を提供するのか、ということを十分に検討することが重要だと思います。それと新しい技術を嗅ぎ取れるようアンテナは絶えずひろげておかないと時代に取り残されてしまいます。

それから実際に開業すると、思ってもいなかった多くの問題が出てくるものですが、頭を切り替えて楽しむような心構えも大切ですね。

プライベート

趣味は大学時代からつづけているゴルフでしょうか。気が向いた時には打ちっぱなしにでかけています。気分がリフレッシュされて気持ちいいですね。
あとは仕事=趣味です。へたに休みなんかとってしまうと、何をしたらいいか途方にくれてしまうので、体を動かしていたいですね。

【タイムスケジュール】

  • 医療法人メイ・ロイヤル 菅原義文 理事長 タイムスケジュール
  • 医療法人メイ・ロイヤル平面図