歯科経営者に聴く - 医療法人社団 BEAUTIFUL SMILE ひらの歯科クリニック 平野 理事長(前編)

歯科経営者に聴く(前編)

~第一線で活躍する院長・理事長から学ぶ~

ひらの歯科クリニック 外観

 地域に寄り添い、親子を中心とした患者様の未来の健康づくりに力を注いできたひらの歯科クリニック。予防歯科を軸に据え、「健康な方を健康なまま守る」ことを大切にしながら、子どもから大人まで安心して通い続けられる医院づくりに取り組んできた。日々の診療を通じて地域とのつながりを深め、「予防が当たり前になる社会」の実現を目指している。
 今回は、今月と来月の2回にわたり、ひらの歯科クリニックの開業に至るまでの歩みや診療に込めた想い、スタッフとともに築く医院運営の工夫、そしてこれからの歯科医療の在り方について、平野理事長にお話を伺った。

平野 理事長

医療法人社団 BEAUTIFUL SMILE ひらの歯科クリニック 平野 由香 理事長

【プロフィール】

  • 1974年神奈川県 生まれ
  • 1997年日本大学松戸歯学部 卒業
  • 2012年「ひらの歯科クリニック」開設
  • 2024年分院開設

【開業に至るまで】

歯科医師を目指されたきっかけについて教えてください。

うちの場合は、父親も祖父も、曾祖父も歯科医師で、私で4代目になります。そういう環境で育って身近にあった職業だったというのが一番の理由です。

誰かになれと言われたわけではないのですが、職業選択の時に、祖父や父から仕事の内容ややりがいを聞いて、なってみようかなと思ったのがきっかけです。父はまだ横浜の方で開業していて、1日おきになりますが、まだ現役で活躍しています。

理事長が卒業後の勤務先を選ばれたポイントを教えてください。

私はまず臨床研修後に大学の口腔外科に残りました。自分が一番不得意なものや、自分が開業した時に苦手意識や怖さを感じるだろうなと思う部分を克服しようと考えて口腔外科を選びました。

それで、東京医科歯科の口腔外科を選んで、そこで開業していくにあたっての手技などを勉強した後、一般開業医に10年勤務しました。

最初に勤務した医院はオフィスビルの中にあり、大人が中心でしたが、女性の先生が私だけだったので、子供を診る機会が多かったです。その中で大人の方との触れ合いやインプラントの機会もあり、学びながら10年経った時に、やはり自分の医院をやってみたいという願望が出てきて今のひらの歯科の開業に至りました。

開業前に一番不安だったことは何ですか?どう乗り越えましたか。

不安だったのはスタッフとの関係、マネージメント面ですね。雇用される側から雇用する側になることへの不安がありました。

また、患者さんとうまくやっていけるかという不安も少しありました。実際に開業してみて、勤務医としての期間が長かったので、勤務する側の気持ちや「こうだったらいいのに」という願いが分かっていたことが役に立ちました。

あとは女性同士なので、スタッフと腹を割って話しやすかったこともあり、うまく乗り越えられたと感じています。

開業場所を決めるにあたり、どのようなポイントを重視しましたか。

父が神奈川県で開業していたこともあり、神奈川県には馴染みがありました。エリア的には神奈川県がいいなと思っていました。主人が東京勤務だったので、東京から通える神奈川県という条件で絞りました。

あとは1階であること、そして都会のど真ん中(横浜駅のような場所)ではなく、スーパーや住宅があって人の生活感を感じる、下町っぽい人との繋がりがある、人の生活感を感じる地域がいいとリクエストしました。

親子連れの方に身近に感じてほしい、ターゲットの方が入りやすい雰囲気にしたいと考え、自ら設計に加わって今の雰囲気になりました。

開業後、理想と現実のギャップを感じた瞬間はありましたか。

日本の世の中はまだまだ予防が徹底されていないなと感じました。

歯科医師として予防が大事だと分かっていても、最初は現実に追われ、予防をやるぞという気合が足りなかったと思います。しかし、自分のやりたいスタイルを考えた時に、スタッフと一緒に予防の病院を作ろうと決心しました。

途中から医院の方針を変えて、地域の人に「予防が一番大事なのだ」という話を繰り返すうちに、「予防を重視するなら、あの医院に行けば安心」というブランディングができたと感じています。

【理念・治療スタイル】

経営理念や診療方針を教えて下さい。

経営理念は、「お子さんの明るい未来に尽力する」ことです。健康な方を健康なままにさせるにはどうすればいいかを常に考えています。

また、医院、スタッフ、地域の方の三方がウィンウィンの関係でいられるような治療や教育を考えています。

治療スタイルに影響を与えた特定の経験や出会いがあれば教えてください。

予防のセミナーは全般的に聞いていました。ただ、そのやり方をそのまま当てはめるのではなく、自分の病院のスタイル、スタッフの気持ち、地域性を加味した上でどう生かせるかをスタッフと一緒に考えています。

今後の歯科医療の発展において、理念に基づき医院として特に力を入れたい分野はありますか。

予防矯正ですね。10年ほど前から取り組んでいますが、まだ知らない方が多いです。

適切なタイミングを逃すとできなくなることもあるので、「知らなかった」という人を減らすために、情報発信や無料セミナーなどで尽力したいです。

他の医院との差別化するために工夫している点をお聞かせください。

ターゲット層を絞っています。自然とお子様とその親御さんになりますが、「痛いからすぐやってくれ、予防なんていい」という方には、うちのスタイルを説明し、予防を受け入れていただける患者様のみを診させていただくという形をとっています。

同じ方向を向ける患者様のために時間を使いたいと考えています。

開業・運営するうえでの苦労話、ピンチなどはありますか。

やはりスタッフマネージメントです。予防に対しても色々な考え方があるので、衛生士さんと方向性を合わせるのは難しいと感じました。

また、歯科医師も教育課程では「治療して治す」ことを教わってくるので、「歯を守るためにはどうしたらいいか」「削らないためにはどうするか」という思考を持つのは結構難しいなと感じています。

どのような増患対策を取られていますか。

基本的には紹介や口コミが多いです。私自身が保育園健診にたくさん行っているので、その保育園の患者さんや親御さんも多いです。

続きは、6/1公開の後編で!