【第8回】 口腔内写真を撮る
高井悦子 (たかい えつこ)
- 出身:
日本歯科大学附属歯科専門学校 (現日本歯科大学東京短期大学)
企業歯科診療室勤務後、結婚・出産にて3年ほど休職。
その後企業検診、クリニックへのパート勤務、地域歯科保健に従事。
フリーランスとして一度に数件のクリニックに勤務の傍ら、専門誌への登壇、セミナーや企業への企画提案を行っている。
日本歯科衛生士会会員・日本審美歯科学会会員。
U→ウキウキW→ワクワクお仕事を楽しんでK→キラキラした人になる。
そんな前向きな気持ちを持つ歯科衛生士さんを増やしたくて『スマイルブランUWK』を発起。現在チームリーダーを務めている。
皆さんはクリニックで口腔内写真を撮っていますか?今回は口腔内写真について考えてみたいと思います。
口腔内写真から読み取れることとはいったい何だか知っていますか?
教科書的には以下のことが書いてあります。
① 歯肉の色(淡いピンク、発赤、メラニンの色素沈着)
② 歯肉の形態(退宿、腫脹、肥厚)
③ 歯肉の質(浮腫性、繊維性)
④ 歯肉の硬さ・緊張度(軟らかい、硬い、引き締まっている)
⑤ 付着歯肉の幅(正常、狭い、広い)
⑥ 歯肉の損傷(擦過傷、クレフト)
⑦ 歯根露出状態(歯頸線の位置)
⑧ 歯面の状態(プラーク、歯石、外来性沈着物)
⑨ 歯質の損傷(摩耗、楔状欠損)
⑩ 歯列の状態(正常、叢生、転位、捻転、離開など)
⑪ 補綴装置(適合、不適合、破損)
じゃ、なんのために撮影をするのでしょうか?目的は何でしょう?
それは口腔内写真を撮影することによって、患者さんの口腔内の状態の変化を客観的に捉え把握することができ、変化に気づくことができます。
残念ながら目で見ただけだと記憶にはずっと残りません。
結局のところ私たちが行う保健指導やSC・SRP・TBIなどの処置の評価を自分のみならず、患者さんや他のスタッフと共有出来ますよね?
つまりは口腔内写真を撮影することで、患者さんの口腔内の状態を明確に記録することが出来ます。
患者さん自身の指導に取り入れることによって具体的に説明が出来るので、モチベーションが上がるきっかけにもなりますよね!
初診時に撮影したり、SC・SRP・TBIなどを評価する時に前後の撮影をしたり、もちろんメインテナンスの時に継続してその都度記録し残すことで将来自分のプレゼン資料になったりもしますから、ぜひ定期的に撮ることをお勧めします。
患者さんだって指導の時に鏡で見せられても覚えている方は少ないですから。
規格性のある写真が撮影出来るようにスタッフ同士、何度も練習が必要になってくると思います。
お互いに撮影をしながら押さえるべきポイントを知り、きれいな写真を撮ってください。
その時に口腔内ミラーなどを入れられてイヤなところとか痛いところとか体感すると良いですよ!
上手に撮影が出来るようになると、どんどん撮りたくなってきますから。
規格性のあるきれいな写真が撮れる様になったら、その次にチャレンジすることは撮影時間の短縮です。
10分以内(欲を言えば3分くらい)で撮影出来ると、患者さんにも負担がかからないですし撮影者の手も疲れないと思います。