海外で活躍する歯科衛生士【コラム編】

第3回

ハノイで歯科治療

人気の日本のケアグッズ

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 海外で生活するときの心配事として、やはり医療が上位にきます。言葉は通じるのか、費用はどれくらいかかるのか、どんな治療をされるのかなど、日本で通院する以上に疑問と不安がつきまといます。

 海外企業の多いハノイには日系を含め外資系クリニックがいくつかあり、日本人の医療従事者もいるため、安心して診療を受けることができます。(怪我でベトナムでは治療できずに、海外移送になるケースも聞きますが…)

 私もハノイに来て1ヶ月足らずで人生初のインフルエンザになり、フラフラしながら病院に行きました。そんな時に日本人がいるというだけでほっとした記憶があります。

毎月専門医によるインプラントオペ日があります

毎月専門医によるインプラントオペ日があります

 私の勤務する医院は日系という事で、7割ぐらいの方が日本人です。年齢層は1歳半健診の時期にというお子さんから、もうすぐ定年というぐらいの方になります。仕事でベトナムに来られている方とその家族がほとんどのため、あまり高齢の方は来られません。応急処置のみを希望される方もいますが、思っていた以上に全顎的な治療を希望される方が多く、初めは驚きました。
みなさん日本にいる時は仕事が忙しく歯科医院に行くことができなかったので、時間に余裕のあるベトナムできちんと治療しておきたいと言われる方ばかりです。

 ベトナムの会社は朝のスタートが早いですが、その分終わる時間も早くなり、17時18時には終わるところが多く、残業もあまりありません。(もちろん残業をする方もいますが、ベトナム人は定時になるとすぐ帰ってしまうため、あまり仕事にならないのだとか…)

筋機能矯正トレーナー

筋機能矯正トレーナー

 日本とは違いほとんどの方が数年以内に帰任してしまうため、小児矯正などやりたくても始めにくいという相談をよく受けます。ブラケット矯正はしていませんが、帰国後も続けることのできるトレーナーを使った筋機能矯正を受けられるお子さんが最近増えてきています。

 ハノイは排気ガスなどによる空気汚染が深刻で、風邪をひきやすい環境です。特に口呼吸の子はリスクが高くなるので、歯並びだけの問題ではなく健康管理の一貫として、日本人学校でも口腔筋トレーニングを毎日取り入れているそうです。

日本にも引けをとらないクオリティー

日本にも引けをとらないクオリティー

 その他にも様々な症状に対応できるようにはしていますが、クリニックの設備では難しい抜歯などはベトナムの病院に紹介することもあります。ただ、病院といってもベトナムの場合は環境が整っているわけではないので、緊急でない以外は日本に帰国する時に大学病院に行って頂くようにしています。

 医院に来られる患者さんが一番気にされるのが治療費です。会社の福利厚生やプライベートの海外保険は別として、基本的に治療費はすべて自己負担になります。患者さんからも「高いですね…」と言われますが、3割負担の日本と比較するとそう思うのは無理もありません。だからといって、費用の安いローカルの歯科医院に行く日本人の方もおられますが、正直あまりおすすめはできません…(ベトナムのローカル歯科医院については、また今度詳しく書きたいと思います。)

英語でのコンサルは何度やっても難しい

英語でのコンサルは何度やっても難しい

 日本で保険治療をする際に治療の流れを説明することはあっても、細かな費用のことまで伝える事はほとんどありませんでした。
ただ、こちらではすべて自費治療になるため、歯周病治療が必要な患者さんには歯周病の説明をしつつ、それにかかる費用も伝え、なおかつモチベーションを上げなくてはいけません。
決して安い治療費ではないため、付いてきてくれるかな…と始めは戸惑いましたが、理解してくれる方も多く、今では定期的にメインテナンスで通われる方も増えてきました。

ベトナムでもインビザラインが受けられます

ベトナムでもインビザラインが受けられます

 ハノイで衛生士を始めて1年半が過ぎ、最近ふと思うようになったのですが、重度の歯周病患者さんが少なく感じます。
はっきりとした理由は分かりませんが、海外赴任される方はデンタルIQが高いのか、それとも生活習慣が良いのでしょうか。

 お子さんの予防に関しても、しっかりとした考えを持たれている保護者の方がとても多いように思います。ハノイだから…というのではなく、日本と同じように定期的に来院していただける方が増えるといいですね。

第4回 『旅行編 ~ハノイから~』1月15日公開予定 COMING SOON !

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