フリーランス歯科衛生士インタビュー
丸橋理沙さん 第4回 「ワンランク上の歯科衛生士になるには」
プロフィール
- 1984年に大阪市で生まれる。
- 2006年に新大阪歯科衛生士専門学校を卒業後、伊藤歯科医院に入職する。
- 2010年にアメリカで研修後、フリーランスの歯科衛生士となる。
ワンランク上の歯科衛生士になるために
顧客満足度を向上させるために取り組んでいることはどんなことですか。
患者さんを家族だと思って、接しています。
「最近、忙しいんじゃないですか」と身体のことを心配したり、歯とは関係のない話もたくさんします。
口の中だけではなくて、患者さんの全てを見るようにしています。
クレーム処理の秘訣を教えてください。
クレームやトラブルの患者さんに対してはたらい回しにしないことが原則です。最初にクレームを聞いた人がその人の話を最後まで聞きましょう。
これ以上、言うこともないだろうというぐらい喋ったら、相手も言うことがなくなってくる。「そうでしたか、そうでしたか」と否定しないで聞き、クレームの内容について謝るのではなく、その人を不快にしたことについて謝ります。
言うだけ言わせて謝ると、それ以上は言わないです。
その次に「では、どのようにさせていただけば、いいですか」と落ち着いて聞きます。
そこで、自分で結論を出さず、「分かりました。一旦、持ち帰って、院長に確認し、改めてご連絡させていただきます」と言います。
クレームを言う患者さんにはきちんと解決すれば、「ここはきちんと聞いてくれて、対処してくれるな」と分かってくださり、今度は味方になってくれるものです。
新しいキュレット
採用面接で成功するために
次の職場を決めたい歯科衛生士へのアドバイスをお願いします。
皆に伝えたいのは職場を決めるときに絶対に譲れないものは何かを決めることです。
休みが多い、給与が高い、早く帰りたい…。そういう希望を一杯言う人がいますが、そんな人にマッチする職場なんてないです。自分で開業してください(笑)。
その我儘を聞いてもらうにはスキルを上げてフリーランスになるという道はあります。でも、できない人に限って、あれもこれもと挙げていくから、迷走するんです。
新卒の方には3年は勉強だと思って、給与が低くても、きちんと勉強できる歯科医院で働いてくださいと言いたいですね。そこで自分を甘やかすと、一生できない歯科衛生士になってしまいます。
自分より年下の歯科衛生士が入ってきたときに、できないとか、分からないというのは恥ずかしいですよ。若いうちにどんどん質問して、勉強すべきです。次に勤務するところで給与を高くしてもらえるような存在になればいいんです。
私が伊藤歯科医院に入ったとき、手取りは18万円でした。
今の歯科衛生士の求人と比べたら考えられないですし、当時でも低い方でした。そのうえ、週末はセミナーの手伝いなどがあり、勉強もしないといけないし、昼休みもない状況だったんです。
でも、3年は頑張ろうと思っていました。それで勉強もできましたし、その勉強が今の私のベースになっていますので、振り返ってみれば良い経験でした。
院長との採用面接で、どんなことをアピールするべきですか。
「自分が何をしたいのか」と「自分が歯科医院に対して、何ができるのか」をはっきり言うことです。それが言えたら、100%就職ができます。
多くの人は自分がしたいことばかりを言います。でも、この歯科医院で自分が働けば売り上げが上がりますとか、患者さんは治りますとか、仕事の結果を言うことがポイントです。
それができなかったとしても、モチベーションが高いことを示せる人とそうでない人とは大きく違います。
私はセミナーの受講生に「今日は皆さんに時間を割いてもらい、お金を払って来てもらっています。でも、このセミナーに出たら、明日から絶対にできるようになります」と言い切っています。
フリーランスの歯科衛生士を雇用する際、歯科医院はどこを見ていると思いますか。
働くことのコンセプトが同じだということでしょうか。
歯科医院と同じ志を持ち、向いている方向が同じ人を選びたいはずです。大切なのは志と方向性。
だから、歯科衛生士側も「私はフリーランスだから、ほかの人よりスキルが高いので、雇ってください」では駄目ですね。
それに、臨床をせずに、セミナーばかりしているフリーランスの人や数カ所の歯科医院の掛け持ち勤務でフリーランスと自称している人は志や方向性といった本質の部分がないだけに、正しいフリーランスの形とは言えないです。