歯科経営者に聴く - 五條歯科医院の五條和郎医院長

歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

五條歯科医院 五條和郎 医院長

昭和47年8月30日生まれ、34歳の若さで神奈川県金沢区で医院を経営しているニュリーダーの一人だ。日頃の忙しい歯科医として、治療に専念しているかたわら、常に将来を見据えている歯科医の一人だ。
本日は、歯科医として心がけや、歯科医療の理想などの将来像のお考えをお聞きした。

五條歯科医院五條和郎院長は、昭和47年神奈川県横浜で生まれた。お父様は横浜関内で開業医を営んでいました。高校時代将来の進路については悩みましたが、結局歯科医師の道を選んだそうです。当時から現在に至るまで多大な影響を受けた方がいらっしゃるそうですが

「もちろん父に一番影響を受けています。父も横浜、関内で開業医を営んでいました。勤務の医院と住居とは別でしたので、父の仕事姿をいつも見ていましたという環境ではありません。しかし、父から言われた『スタッフを大切にしなさい。』という言葉の重さは、今も私の心の奥底で輝いています。この言葉があるからこそ、いまの自分があり、冒頭のような考え方があり、社会人として成長し、次の3人の偉大な方々から教えを受ける基本になっています。

まず、一人目は飯田橋で歯科医を営んでいる矢内良徳先生です。父の恩師でもあります。当時私は高校生で、自分の進路に悩んでいました。自分の考えでは、興味のある史学の道を進もうと思っていました。当時、矢内先生は、歯科医でもありながら早稲田大学文学部で考古学も教えていました。その先生いわく、『人生には生活の糧となるバックボーンを持って、自分自身の好きなことを志す。』というお言葉を頂き、歯科の道を生活の糧として、自分の好きな人生を歩んでいこうと考えました。

2人目は大学院での指導教官だった東京歯科大学の井出教授です。それまで自己流だった考え方や、まとめ方、表現方法などを学術的に体系づけて考察の仕方や発表まで行い、それをまた自分で考え直すことを教えていただきました。もともと学究肌で、ひとつのものを極めていくことが好きだった自分が今の自分のように、歯科医を経営し、歯科医として治療にあたり、将来のことを考えていけるようになったのは、井出先生のおかげです。

3人目は勤務医時代にお世話になった鈴木尚先生です。先生には歯科医としての歯科治療の技術だけではなく、歯科医師としての考え方を教えていただきました。また、それだけに留まらず、患者様との接し方、好かれ方、説明の仕方、対応の仕方などにもおよびました。

しかし、そのころの私は若く、医院の経営者である先生に『患者数を増やしなさい』という命題に対し、なにをしたら良いか解らず(先生はおそらく、患者様との接し方、説明の仕方、対応の仕方などを考え直せと、いいたかったのだろうが……………)自費の治療を闇雲に増やしたりして、かえって、患者を遠ざけてしまったりしてしまいました。

現在は気が楽になり、患者本位の治療ができる様になりました。「損して得とれ」の精神で、患者には喜ばれ、自分も気持ちよく仕事ができると当然のことながら、患者様も増えてきました。」

現在、歯科医として、同時に医院を経営する医院長として心がけていることは?

五條歯科医院「歯科医師としては、自分のスタイルをもって、自分やスタッフにストレスをかけない。しいては患者様、ストレスをかけない診療を実施していきたいと考えてます。
患者様に対して、ストレスかけない治療とは、もちろん痛みのない治療も含みますが、患者様がストレスを感じなく通える医院。または、ストレス(=疑い)を感じなく、納得できる説明などもあるのでは。同様にスタッフに対してもストレスがかからない環境を提供したい。当然スタッフにストレスがかからなければ、患者様にもストレスがかからなくなります。
その結果、自分にストレスがかからなくなります。」

具体的に現在の治療にかんするスタイルは?

「『鈴木先生の所で咬合についての知識をかじったのをはじめインプラント、矯正などの持てる技術をすべてだしたい。ただし、あくまでも治療は患者様本位で、患者様にあった治療を行って生きたい。自分の治療を押し付けたくはない』と考えてます。

将来の仕事のスタイルをどのようにお考えですか?

「昔は定年まで一生懸命仕事をした後、定年になってからゆっくり余生を送ったり、自分の好きなことをしていたが、現在は仕事に関する考え方が多様化して、仕事をしながら好きなことするスタイルになっていると思います。年収300万円で生活ができるなんていう本がベストセラーになる時代ですからね。
当然、歯科医の世界もライフスタイルが変わってきて、開業医が主流でなく、勤務医も一つのスタイルになるのではないでしょうか?極端なことをいうと、非常勤の勤務スタイルが自分の好きなことができる理想のスタイルではないでしょうか?もちろん歯科医としての技術がある程度なければいけませんし、また、非常勤の短い時間で稼げる技量も必要ですけど。
もちろん、私自身がそのような生活をしたいと考えています。」

歯科医療の理想は?

歯科医師が集約すべきと考えます。欧米のようなグループ医療が理想と思います。日本の開業医みたいに一国一城の主はこれからはハイリスクで大変だと考えます。また、現在、医療法人で行われているチェーン展開みたいな分院の展開も危険だと考えます。なぜなら、これからは、医療のクオリティも求められるので、チェーン展開みたいなものは、どうしてもクオリティが下がるので、リスクが生じると思います。
将来的には、歯科医の大規模な集合体(会社)を作りたいと思います。あくまでも個人の集合体で、その個人を尊重して、地域周辺に貢献できれば、ブランド力が次第についてきて、そのブランドが確立していきます。そうすれば、患者様が自然と集まり、同時に患者様だけでなく勤務医、スタッフも集まりやすい環境に立っていきます。」

その後は?

「最終的には『晴耕雨読』的な生活ができれば幸せですよね。」(笑い)