歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

森本歯科医院 森本哲司 院長

日本三名城の一つである姫路城で知られる兵庫県姫路市は、大阪からJRの新快速でちょうど1時間であり、急速に都市化が進む地域である。
今月ご紹介する森本歯科医院の森本哲司院長は、1955年に姫路市で生まれた。お父様は中学の校長先生を長く勤めた地元の名士で、米や野菜を作る農業も兼業で営んでおられた。
森本先生に歯科医を目指されたきっかけを伺った。

森本歯科医院 森本哲司 院長

森本歯科医院 森本哲司 院長

開業まで

「父を慕って、大勢の教え子がよく家に遊びに来ていたんですよ。中学生にもなると、誰がどんな仕事をしているのかは分かりますよね。その中に歯科医がいて、今から35年前にフォードに乗っていたんですよ(笑)。憧れましたね。子ども心に<先生>と呼ばれる仕事はいいなあと思っていましたし、歯科医は人の死に目に会わなくて、切ったり縫ったりしなくてよさそうだとも感じていました。ただ、切ったり縫ったりは今、毎日やっていますから勘違いも甚だしかったですね(笑)。」

1980年に大阪歯科大学を卒業して、神戸市の鹿島歯科医院へ就職する。このとき森本先生は「あと10年で歯科は飽和状態になってしまう。とにかく早く開業したい。」という思いで一杯だったという。鹿島歯科医院では、最初から担当の患者さんを与えられ、ひたすらに技術を学んだ。自費診療の患者さんも任され、その診療費の1割がインセンティブとして給料に反映されたこともモチベーションの向上になった。仕事と並行して、週に1回は大学に歯科保存学の研究に通った。

勤務医生活を1年半ほどで終えて、現在地で開業の運びとなった。山陽電鉄で姫路から1駅の手柄駅から徒歩3分ほどの立地である。出身地はJRの姫路別所駅の周辺であるが、そこには前述のお父様の教え子である原先生が開業しており、競合を避ける意味でも、また様々な調査を行ったうえで場所を決定した。

「私は田舎の歯医者というのに憧れもあったのですが、あんまり田舎という感じもしないし、姫路バイパスが近くて、移動に便利だなあというのが第一印象でした。」

インプラントについて

森本先生は現在、インプラントに関して12000症例、6000本の実績を持っている。

「インプラントは20世紀の歯科治療における最大の発明だと思っています。しかし、最初は私も、ほんまかいなという思いがあったんですよ(笑)。何度も勉強会に足を運び、分からないこと、うまくいかないことが徐々に理解できるようになりました。」

「万人にはできない技というものは歯医者冥利につきますよ。例えばFFAIテクニック(Fixation with the Flame Attached Implant Technique)ですね。本来インプラントは骨のあるところに施術するものですが、これは強度の骨欠損の症例で初期固定ができない場合に、チタンフレームでインプラントをぶら下げ、最終的な骨の形態を確保し、理想的な位置にインプラントを固定する術式です。これをインプラント学会で発表したところ、大学の先生方にも高い評価を頂いたのですが一般化には至らないですね。しかし、歯科医師は自分のオリジナルを持たなくてはいけないと強く思っています。」

「歯科医師のテクニックだけでなく、機械での勝負ということも視野に入れなくてはいけませんからね。」と森本先生は話す。

臨床研修指定施設に

「正直なところ指定施設になったからといって、金銭的に得になることなどないのですよ(笑)。ただ、いい人材に巡りあいたいですね。そして、技術を習得させるだけでなくて、いい人間を作っていきたいという思いがあります。」

今後の展望

新たな分院を建設するために、神戸市中央区に土地を取得した。JR、阪神の元町駅から徒歩3分ほどの好立地である。そこではインプラントをメインに据え、自費診療のみの歯科医院を計画中である。

「歯医者は趣味でやれたら最高ですよ。自分の気に入った患者さんにだけ、気に入った治療をすることができますからね。でも、ビジネスとして捉えるなら非常に難しい。経営者としてはいろんなことに目を配り、幅広い知識を得なければなりません。特に、経済については学ぶ必要があると思っています。」