歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

医療法人社団 聖歯会 ヨコハマデンタルオフィス 金田 徳煥 院長

医療法人社団 聖歯会 ヨコハマデンタルオフィス 外観

横浜市西区高島は横浜駅東口の商業地である。そごう横浜店や横浜スカイビルがあり、みなとみらい地区に隣接している。
2007年に開業したヨコハマデンタルオフィスは横浜駅東口から徒歩2分の場所に2015年に移転した。金田徳煥院長はこれまで5,000本以上のインプラント手術を手がけており、ヨコハマデンタルオフィスは神奈川県内はもとより、全国でも有数のインプラント専門歯科医院となっている。
今月はヨコハマデンタルオフィスの金田徳煥院長にお話を伺った。

医療法人社団 聖歯会 ヨコハマデンタルオフィス 院長 金田 徳煥(かねだ のりあき)先生

医療法人社団 聖歯会 ヨコハマデンタルオフィス 金田 徳煥 院長

プロフィール

  • 1967年 滋賀県生まれ
  • 1992年 神奈川歯科大学卒業
  • 1992年 神奈川県の歯科医院 勤務
  • 1993年 神奈川県の歯科医院 勤務
  • 1998年 かねだ歯科診療室 開設
  • 2005年 相模原インプラントセンター 開設
  • 2007年 ヨコハマデンタルオフィス 開設
  • 2015年 ヨコハマデンタルオフィス 移転
  • 【学会 他】
  • 日本審美歯科学会 会員
  • 日本口腔インプラント
  • 【学会 会員】
  • E・A・O(European Association For Osseointegration)正会員
  • Academy of Osseointegration 正会員
  • アメリカ審美歯科学会 会員
  • フランス パリ第5大学 研修
  • スウェーデン イエテボリ大学 顎顔面 外科 研修
  • スウェーデン アストラテック本社 研修
  • 南カリフォルニア大学 客員研究員
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開業に至るまで

歯科医師を目指されたきっかけはどのようなものだったのですか。

兄が歯科医師で、従兄も7、8人が医師や歯科医師になっていました。父は企業の経営者ですが、私は小学生の頃から父に医師、歯科医師、弁護士になることを勧められていました。小学生では弁護士という仕事をよく知りませんから、なるなら医師か歯科医師かなと思っていましたね。高校生になって、大学を受験するときに「医師と歯科医師のうち、早く独立できるのはどちらか」と父に尋ねましたら、歯科医師だと即答されましたので、歯科医師を選びました。そのときから独立志向が強かったのでしょうね。

学生時代に思い出に残っていることはありますか。

中学では野球、高校では軟式テニスをしていて、大学で硬式テニスを始めました。体育会のテニス部に入り、練習ばかりの日々でしたね。朝練をして、授業中は寝て、午後の練習をするという繰り返しでした(笑)。その甲斐あって、6年生のときにデンタルで初優勝したのです。皆で喜び合いましたね。

卒業後、勤務先を選ばれた理由をお聞かせください。

インターネットのない時代ですから、大学の掲示板に貼ってあった求人票を見て、2、3軒の歯科医院に見学や面接に行きました。これから高齢化が進展していくことが分かっていましたので義歯は必須だと考え、補綴に強い歯科医院に就職したかったのです。選んだ先は院長先生がかなりレベルの高い補綴をされていました。また、私の母校とは違う大学で非常勤講師もされていたので、修行先としては申し分ないと思いました。

転職されたきっかけはどんなことでしたか。

より多くの患者さんを担当したかったからです。最初の歯科医院では10人程度を受け持っていたのですが、どうしても見学の時間の方が長くなっていたのですね。当時はインプラントが広まり始めた頃で、私は「すごい技術があるな」と感動し、インプラントをマスターしたかったのです。それで転職先の院長先生にインプラントをしてみたいと申し出たところ、院長先生の大学の先輩である小宮山彌太郎先生をご紹介いただき、勉強させていただけることになりました。

勤務先で学ばれたのはどんなことですか。

患者さんの不安な気持ちをいかに取り除き、安心して帰っていただくのかということです。クラシック音楽が流れている、静かな歯科医院の中でキーンという音が響けば、患者さんは不安になります。でも、多くの患者さんの声が聞こえてきたり、歯科衛生士や歯科助手が忙しく走り回りながらも明るく挨拶していたり、院長が患者さんと大笑いしているような歯科医院ですと、患者さんの不安な気持ちが解消されますから、そういう雰囲気を作っていくべきだと学びましたね。

開業しようと決断されたいきさつはどんなことだったのでしょう。

30歳の頃に開業したいと考えていたのです。勤務医を6年して、30歳になっていましたから、予定通りに開業しました。既に歯科医師過剰時代と言われていましたが、開業するならアットホームで、子どもさんから高齢者の方まで通っていただける歯科医院を作ろうと思いました。

開業地はどのように選ばれたのですか。

先に開業医になっていた後輩の患者さんにビルのオーナーがいらしたのです。その方が相模原市にマンションを建てられるにあたり、1階に歯科医院に入ってほしいとのことでしたので、そちらに入居することにしました。

開業地の第一印象はいかがでしたか。

JR横浜線の淵野辺駅のすぐ近くで、角地というのが気に入りました。周辺には新しいマンションが続々と建つところでしたので、ファミリー層の来院にも期待が持てそうでした。人口が増える見込みがある一方で、若い世代の歯科医師がほとんどいないことも良かったですね。

開業にあたってはどんな苦労がありましたか。

開業準備に関しては苦労はありませんでした。以前、同僚だったスタッフが寿退社していたのですが、私どもを開業するにあたり、そのスタッフが手伝ってくれたので助かりましたね。最初は患者さんが多くないですから、スタッフも少ない人数で済みました。ただ、診療時間が長く、準備や後片付けを含めると朝8時30分から夜9時までの拘束となりましたので、スタッフに苦労をかけましたね。ユニット3台で開業しましたが、患者さんが徐々に増えてきたので4台に増やし、スタッフも増員しました。5年経ったときに、より広い場所に移転を行いました。

2007年にヨコハマデンタルオフィスを開業なさったのですね。

相模原市の本院、かねだ歯科診療室は順調に大きくなり、2、3人の勤務医がいる環境になっていました。それで、インプラントなどの自費診療に特化した分院を作りたいと思ったのです。日本インプラント株式会社の知遇を得たこともあり、横浜駅西口の物件に居抜きで入りました。お蔭様で、こちらも患者さんが増えてきましたので、2015年に横浜駅東口に移転を行ったのです。

移転地をどのように探されたのですか。

私が自分で探しましたよ。インプラントは高齢の患者さんが中心になりますから、駅に近い方がいいのです。本当は駅に直結したビルが良かったのですが、水回りや広さなどの条件に合う物件がありませんでした。このビルは地下街から少し外に出ますが、雨の日でもほぼ濡れずに来院できますので、患者さんの利便性は向上しましたね。

移転開業にあたってのコンセプトとはどのようなものだったのですか。

私はインテリアが好きで、私の趣味を活かしたコンセプトになっています。最近はベージュ、ブラウンなどの色味を使った、ゴージャスな感じの歯科医院も増えていますが、私の好みではありません(笑)。自宅もこのような雰囲気にしています。本院は「どなたでも入りやすい歯科医院」にしていますが、ヨコハマデンタルオフィスは私の好きなスタイルやデザインにしたかったのです。

設計、レイアウトの工夫などをお聞かせください。

移転前はユニット3台でしたが、移転後は5台です。6台にすることも考えたのですが、ユニットの間隔を広くしたかったのと手術室を作りたかったので、5台にしました。その分、ゆったりとした空間が実現できています。医局も広めにして、スタッフがきちんと休めるようにしました。全面に窓があり、みなとみらいの街並みを臨めます。全てのチェアが窓を向いていますから、患者さんからも「飽きない景色ですね」と好評をいただいています。

経営理念

経営理念をお聞かせください。

患者さんは来院したくて来院しているわけではありません。痛いし、不便だから来院されるのです。歯科医院を好きな人はいません。皆、痛いだろうな、怖いだろうなという気持ちなのです。したがって、歯科医師のみならず、スタッフもできるだけ笑顔でのご挨拶をして、不安な患者さんの気持ちを和らげてさしあげたいものです。温かくお迎えして、極力、痛みを与えずに治療し、快適な気持ちで帰っていただければ、「もう二度と来たくない」ではなく、「また来てもいいかな」と思ってくださるはずです。
最近は接遇マナー研修も盛んですが、そこで言われているような45度のお辞儀よりも明るいトーンの声での挨拶や笑顔の方が患者さんは喜ばれるでしょう。そんな挨拶や笑顔こそが歯科にとっての本当の接遇ではないでしょうか。

診療方針

診療方針をお聞かせください。

歯科医師が自分の理想を押しつける、歯科医師本位の治療ではなく、患者さん本位の治療です。患者さんのお話をきちんと伺い、患者さんが望む治療を提供することを心がけています。そして、患者さんのお話を伺う中で助言をしたり、「こういう方針や考え方もありますよ」といった選択肢を提供し、患者さんに選んでいただくようにしています。

患者さんの層はいかがですか。

インプラントは60代以上の方がほとんどです。最近、インビザライン・システムの矯正歯科を始めましたが、目立たないマウスピースでの矯正ということもあり、こちらは20代の女性が多いですね。

自費と保険の割合について、お聞かせください。

ヨコハマデンタルオフィスでは保険は1割以下です。本院のかねだ歯科診療室は自費が4、保険が6の割合です。

増患対策

どのような増患対策を行っていらっしゃいますか。

ヨコハマデンタルオフィスの矯正に関してはほぼホームページからですね。インプラントは日本インプラント株式会社からの紹介がほとんどで、その患者さんからの口コミもあります。かねだ歯科診療室はホームページのほか、週に1度、地元のミニコミ紙にインプラントの広告を出稿しています。

スタッフ教育

スタッフ教育について、お聞かせください。

開業当初は全くの新卒の歯科医師に手取り足取りで指導していたのですが、途中で経験者採用に切り替えたこともありました。しかし、今はまた経験が少ない歯科医師に一から理念や方針を教育しています。ミーティングもしますが、現場で見せながら教えることの方を重視していますね。
これまで多くの歯科医師を雇用してきましたが、患者さんに信頼される歯科医師もいれば、「担当を替えてください」と言われる歯科医師もいました。患者さん本位の診療をしないと、患者さんからの信頼を得ることはできません。患者さんのお話をよく伺い、患者さんのしてほしいことを察知し、一つ一つの治療を基本に則って、痛みが出ないようにすることが大切です

歯科衛生士、歯科助手への教育はいかがですか。

歯科衛生士はヨコハマデンタルオフィスに4人、かねだ歯科診療室には歯科助手と合わせて15人ほど在籍しています。やはり挨拶をきちんとすることが基本ですね。患者さんは歯科医師に言いにくいことを歯科衛生士や歯科助手、受付スタッフに言ったりもするので、患者さんのおっしゃることをきちんと汲み取るよう、指導しています。技術的なことよりも、患者さんの不安を取り除き、リラックスしてもらうこと、「明るくて、気持ちの良い歯医者さんだ」と思っていただけるようにすることが大事です。私はよく「優しい歯科衛生士を演じろ」と言っています。演じているうちに身につき、本当にそうなるものなのです。

今後の展開

今後の展開について、お聞かせください。

分院の展開については検討中です。私は1週間の中でヨコハマデンタルオフィスに3.5日、かねだ歯科診療室に2.5日ほどいるので、分院を開院するとなれば、どなたかに分院長を任せないといけません。行うからには患者さんに満足していただけるような分院にしたいですから、核になる歯科医師とお会いできたらと思っています。

開業に向けてのアドバイス

開業に向けてのアドバイスをお願いします。

若い歯科医師には患者さんにも、スタッフにも優しく、常に向上心を持って頑張ってほしいです。自分に厳しく、相手に優しくありたいですね。日本人は本来、そういうことが得意な民族だと思いますし、おもてなしの心も持っているはずなのです。患者さんの立場に立って考え、行動し、患者さんに「また、ここに来たいな」と思っていただき、気持ちよく帰っていただけるような歯科医師を目指して、頑張ってください。

プライベート

プライベートの時間はどんなことをして過ごしていらっしゃいますか。

休みは週に1日あるかないかですので、あまりゆっくりもできません。自分だけの時間は通勤の車の中か、仕事が終わって歯科医院を出る前の1時間ぐらいでしょうか。家庭では4児の父親です。一番下の子どもが2歳ですので、子どもと遊ぶ時間をなるべく作るようにしています。上の3人が小さい頃も遊んでいないわけではありません(笑)。子どもはすぐに大きくなってしまいますから、今は家族との時間を大事にしたいですね。

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