歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

医療法人宝歯会 梶原 浩喜 理事長

加茂歯科クリニック 外観

医療法人宝歯会は福岡県、山口県、広島県、岡山県で分院を展開している九州最大級の法人である。歯科医院のある地域では「ゾウさんマークの歯科医院」でお馴染みであり、子どもから高齢者まで、幅広く親しまれている。
宝歯会は高度医療もさることながら、訪問歯科、口腔介護技術も高いものがあり、何よりも患者様に人として向き合う姿勢を持っている法人である。
今回は医療法人宝歯会の梶原浩喜理事長にお話を伺った。

むこうはら歯科医院 向原 正 院長

医療法人宝歯会 梶原 浩喜 理事長

プロフィール

  • 1987年 鹿児島大学 卒業
  • 1992年 かじわら歯科医院 開業
  • 1993年 医療法人宝歯会 設立
  • 2004年 古賀スマイル歯科医院 開院
  • 現在までに福岡県、山口県、広島県、岡山県に15歯科医院を展開
  • 2007年 歯学博士号 取得

開業に至るまで

歯科医師を目指されたきっかけをお聞かせください。

父を早く亡くし、故郷に住む母のもとで自営業をしようという希望を持っていました。そこで、歯科医師になれば開業しやすいと考え、歯学部を選択しました。

大学時代のエピソードをご紹介いただけますか。

大学時代の思い出はラグビーにかなり打ち込んだことと、深夜のガソリンスタンドでのアルバイトを3年間、頑張ったことに尽きますね。ラグビー部では多くの 友人ができ、ラグビーはもちろん、お酒や麻雀など、楽しい思い出が数多くあります。同じ時間に同じ場所で、ラグビーという同じことに打ち込んだ仲間がいか に大事な存在なのかということを今でもつくづく感じています。だからこそ、ラグビー部の友達とは今も遠慮なく本音で話せる深い交流が続いていますし、今後 もこの関係を大切にしていきたいですね。

ガソリンスタンドでのアルバイトにも熱中されたのですね。

初めはお金を稼ぐために、嫌々ながらのアルバイトでしたが、お客様や上司に誉められたり、認められたりすることが増え、私自身も工夫するようになったので す。「どうやったら、お客様に喜んでいただけるか」、「どうしたら、もっと認めていただけることが増えるのか」といったことを深く考える癖がつきました ね。
仕事において最も大切なことは企業の理念や目的、上司の行動に共感すること、上司と方向性が合うことです。そして、上司と同じ方向に向かって 努力し、さらに徹底していくことにあります。そうすれば、お客様から感謝の言葉をいただけることに繋がり、その言葉によって、本当の働き甲斐を感じるので す。これこそが良い仕事なのだと、ガソリンスタンドのアルバイトの中で学ぶことができました。

勤務先を選ばれた理由はどんなことでしたか。

最初に見学をさせていただいた歯科医院にお世話になりたいと、その場で決定しました。その理由は、院長と相性が良さそうだと感じたこと、多くの代診の先生がいらっしゃったこと、非常に雰囲気が明るくて自分に合っていると思ったことの3点です。

勤務先で学ばれたことはどんなことでしょう。

歯科医療は興味が尽きず、素晴らしいものであると認識できたのはもちろん、患者様にしてさしあげたいことではなく、患者様が何をしてほしいかという「外か らの視点」で考えることが大事であることと、全ては自分の責任という覚悟を持って仕事にあたることです。今も自分の人生を支える2つの考え方を院長先生か ら学ばせていただきました。

開業しようと決断されたいきさつについて、お聞かせください。

母親の緊急入院で、突然、開業を決心しました。開業の半年前に院長先生の許可を得て、ほとんど準備もしないままの開業でした。母の健康状態が良ければ、あと4、5年は勤務していたと思います。

開業にあたってのコンセプトやこだわりなどをお聞かせください。

急いで開業したということもあり、母親が住んでいる故郷で開業することと開業費用を最小限にするという2つのコンセプトだけでした。開業にあたっては、今、考えると怖いくらいですが、立地や診療圏調査などを全く行いませんでしたね。チェア2台からのスタートでした。

経営理念

どのような経営理念をお持ちですか。

「患者様と永く、スタッフ皆と永く、地域の皆様と深く永くお付き合いする」ことです。

診療方針

医療理念をお聞かせください。

「全ての患者様に、最新・最高の歯科医療を提供する」ということです。まずは、診療理念を実現するために、小児歯科から訪問歯科診療まで、全ての患者様の 要求に応えられるような歯科医院の人的、物的な体制を整えることです。そして治療が終わったあとはメンテナンスなどで患者様と永くお付き合いできる人的、 物的体制が十分に整った歯科医院にしたいです。
それから、スタッフが「自分がどうしたい」ということを少し抑えながら、患者様が「何を望んでいるのか」ということを徹底的に考える習慣をつけさせることです。
また「治療における透明性」を最大限にして患者様の信頼性を獲得することや、セミナーや講演会といったスタッフが学べる場を多く作り、自己実現をサポートすることですね。
これらが私の重要な役目だと思っています。

増患対策

増患対策はどのようになさっていますか。

「自分が何をしたいか」、「自分がどう思うか」よりも「患者様がどうしてもらいたいか」、「患者様がどう思うか」という外からの視点を大切にしています。 したがって、増患のために何かをするということではなく、良い仕事、つまり「患者様が喜ぶ」、「スタッフが働き甲斐を感じる」、さらには「工夫する」を徹 底することで、結果として多くの患者様が来院してくださったということです。我々は決して増患するためにサービスを行っているわけではありません。いい仕 事をすることに全力を注いでいます。その結果としての増患ですが、この順番は非常に大切です。増患のために診療をしているのではなく、良い仕事が目的なの です。

私どもの基本的な行動指針として院訓があります。
我々は毎日、この院訓を唱和し、考える場としています。

【院訓】

  • 私達は実践します。
  • 一つ、明るく元気で大きな声で挨拶します。
  • 一つ、日本一きれいな歯科医院を目指します。
  • 一つ、治療は詳しい説明の後に行います。

訪問歯科診療について、段々と増患していった要因は何だと思いますか。

時代の要請であることは間違いありません。外来では患者様に「もう一度来ていただく」ということを常々考えることが基本です。一方、訪問診療では考え方の転換が必要で、訪問診療終了後に「もう一度来てほしい」と患者様が思ってくださるような診療を行うことが大事です。それを徹底して実行できたことが訪問診療の増患に繋がったのではないでしょうか。増患のために行ったのではなく、結果的に増患できたのだと思います。

スタッフ教育

スタッフ教育はどのように行っていらっしゃいますか。

研修システムは少しずつですが、充実してきていますね。研修で大切なことは「歯科医療という仕事を好きになってもらう」ということです。歯科医療は楽では ありませんが、好きになることにより、楽しく仕事ができるはずです。「仕事が大好き」、「歯科医療が大好き」と言ってもらえるような研修にしたいと思って います。

臨床研修指定医院ですね。

臨床研修制度が始まって以来、多くの研修医の先生方に臨床研修を受けていただいています。研修中に大事にしていることは、いかにして目の前の患者様と長く お付き合いすることができるかということを常に考える習慣をつけることと、歯科医療を好きになって、楽しく診療をしてもらえるようにすることの2点です ね。
歯科医師の出発点としての時間を共有できる多くの仲間がいることは大事です。私どもの若い歯科医師は皆、正直で、丁寧で、真面目だと信じてい ますので、臨床研修医にもそんな歯科医師と同じ場所で同じことを考え、さらには相談したり、お酒を一緒に飲んだり、楽しむといった時間を共有してほしいで すね。そういう歯科医師としての第一歩を踏み出す場としては非常に良い環境だと思いますよ。この時期のそんな友達こそが一生の同志です。当院での研修が若 い歯科医師の一生の財産になってくれるはずだと、私は確信しています。

今後の展開

今後の展開について、お聞かせください。

若い歯科医師からは将来に対する不安をよく聞きます。そんな不安を希望や安心に変えられるような組織化、会社化された歯科医療グループを作ることが我々の 目標です。そして歯科医療を中心にしつつも、介護、託児、メディカルと多角化を進めることも非常に大切だと思っています。我々は介護、託児、メディカルを 一体とし、多くの人達を幸せにできる歯科医療グループを実現させるつもりです。

開業に向けてのアドバイス

開業に向けてのアドバイスをお願いします。

母親を安心させるということが当時の私にとって最も大切なことでした。私の故郷は開業適切地だとは言えませんでしたが、開業するにあたっては、まず「何の ために開業するのか」という目的をはっきりさせることが大切です。私の目標は「母親を安心させる」でしたので、悩むことはありませんでした。その実現のた めの開業ですからね。

プライベート

プライベートの時間はどんなことをして過ごしていらっしゃいますか。

お酒を飲みながら家族でテレビを見たり、友人とジャズを聞きながら話をしたりするのがとても大切な時間です。今はそういった時間がなかなか取れないのが残 念ですね。しかし、変な奴だと思われるかもしれませんが、私の趣味は勉強と仕事です。歯科医学や経営学の勉強、そして人生について学ぶことが私にとっては 非常に魅力的で、かけがえのない時間になっています。歯科医学や経営学のセミナーに行ったり、一人で本を読んだり、そして一人で人生について考える時間を 持つことは楽しく、幸せなことですね。また、自院の周りの庭造りやガーデニングをすることも気分転換になっています。

【タイムスケジュール】

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    間取り図
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