歯科経営者に聴く - 株式会社関総研 岡本典久先生

歯科経営者に聴く ~第一線で活躍する院長から学ぶ~

株式会社関総研 岡本典久先生

開業して5年が経ちます。毎日、懸命に診察に取り組んでいますが、開業3年目をピークに患者の数は完全に頭打ち状態です。人口の多い住宅地に開業した事を考えると、もう少し患者数が増えてもおもかしくないと考えています。診療報酬改正の影響により減収であるのに加え、もうすぐ近所に競合の歯科診療所がオープンします。出来ればそれまでにもっと地域での囲い込みをと考えています。この地域で当医院の認知度を高めるにはどうすれば良いでしょう。(堺市 I 医院)

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プロフィール

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  • FAX:06-6231-0555

A1. 認知度の低い地域へは「広告」を

地域の認知度向上で重要な事に広告の手法が挙げられます。ここで効果的な広告戦略を紹介します。 広告は費用対効果という観点では非常に曖昧な物と位置づけられているため、掲出場所の選定をしっかりとします。それにはまず地域における来患数の分布図作りをします。株式会社関総研 岡本典久 先生レセコンの患者データから、住所(もしくは郵便番号)を抜き取り、地図を用いて地域ごとの来患数の分布図を作成していきます。それが出来ると次は診療圏調査を行います。歯科経営における診療圏は、一般歯科・口腔外科は半径500mから1km、審美歯科・矯正歯科は半径2km~3kmといわれています。 その範囲の人口に受信率を乗じ、さらに地形や競合医院の距離に応じて吸引率を乗じます。その計算で出てきた地域ごとの理論患者数と作成した分布図の現状を比較します。ほとんどの場合、差異が目立つ地域が幾つかあります。さらにリサーチをかけ、その要因は認知度が低いものだという事でしたら、対象地域の最寄り駅に対して駅看板や、交通量の多い道路沿いに立看板を出す等するとより効果的な広告効果が得られるでしょう。

次に歯科診療所でよく目にする広告の種類と特色を挙げます。広告それぞれに特色があるので考慮に入れて利用すると良いでしょう。

駅看板

株式会社関総研 岡本典久 先生医療機関の広告手法では代表例の一つです。費用対効果に対して疑問視する声も挙がっていますが、折込み広告のような一過性のものではなく恒常的に医院の存在を知らしめる事や、路線を絞ることにより対象を絞れる等のメリットがあります。

電話帳

診療圏が比較的広い診療科目や、人に言えない疾患により口コミで広がりにくい診療科目について効果が大きいと言われています。

電柱看板

診療所の存在をアピールするよりは、むしろ道案内の役割を果たす広告媒体だといえます。そういう意味から、想定される診療圏内に掲載する事が効果的です。

電車・バス内

車内空間で掲出されているため他の媒体よりも目に溜まりやすく、また、アナウンス広告を利用すると唯一聴党に訴える事のできる広告手法となります。ここで気をつけないといけないのは医療法による広告規制です。医療行為は営利目的ではなく、また専門性が高く人命に影響を及ぼしかねないという観点から過大広告や営利目的ではなく、また専門性が高く人命に影響を及ぼしかねないというか観点から過大広告や廉価競争が行われないように医師・歯科医師に対して厳しい広告の規制をしています。医療法第69条で認められた事項以外は文書その他いかなる方法を問わず広告をしてはならない事になっています。近年の規制緩和の潮流から今回の改正でも広告可能事項が追加されています。表1をご参照ください。

認知度の高い地域へは「広報」を

単なる情報提供に終わらず、院長をはじめスタッフからのコメントや顔イラストを掲載する等して自院の親しみ易さをアピールします。患者アンケートの結果とその取り組み事例を掲載することで患者とのコミュニケーションを図った院内報を発刊する医療機関もあります。

パンフレットの作成

患者が家族や知人に見せる時、また施設見学に来た人へ自施設の特徴(セールスポイント)をわかりやすく紹介するためのものです。病診連携、診診連携など医療施設連携システムに力を入れている医療機関は、パンフレットを連携先にも置いてもらえば、自施設のPRの機会が増えることにもなります。また、連携先施設のパンフレットも自院内に置いておくことで紹介先の確保という安心感を患者に与えられるでしょう。

院内報

単なる情報提供に終わらず、院長をはじめスタッフからのコメントや顔イラストを掲載する等して自院の親しみ易さをアピールします。患者アンケートの結果とその取り組み事例を掲載することで患者とのコミュニケーションを図った院内報を発刊する医療機関もあります。

地域へのアプローチ

地域の催しに積極的に参加し地域住民にアピールします。また自治体が開催する(もしくはタイアップで行う)健康講座の講師を担うことによって地域住民とコミュニケーションを図ります。

ITの利用

株式会社関総研 岡本典久 先生 最近ではホームページを作成している医院も少なくはありません。ホームページは広告に該当しないとの見解から患者へ「ブラッシングの方法」や地域への想い等自由にPRを行っています。また50才以下の患者にはメールマガジンで最新治療情報等を提供する囲い込みを行う事例も見られます。 広告は、「お金を使ってするもの」と見なせば、誰でもお金を支払いさえすれば出来ます。むしろお金よりも「知恵を使ってする」広報をより効果的に推進すべきだと考えます。