海外で活躍する歯科衛生士【コラム編】

第1回

ベトナム(ハノイ)で歯科衛生士として働く!~意外に日本と変わらない?~

ベトナムで歯科衛生士

なごみデンタルクリニックの受付

なごみデンタルクリニックの受付

 私の働くなごみデンタルクリニックは、ベトナム・ハノイの中心地から少し西側のアパートメントやオフィスビル、商業施設が入るエリアの一角にあります。日本人学校へ通いやすいということから、日本人駐在員家族が多く住むところです。患者さんの7割ほどが日本人、ベトナム人が2割、その他は色々な国籍の方がこられます。

今のスタッフ構成は院長の日本人歯科医師、ベトナム人矯正医、ベトナム人ナース2人、ベトナム人会計事務、そして私です。院長がこの春から新しく代わり、医院の雰囲気もずいぶん変わりましたが、みんな楽しく過ごしています。

メインテナンスで使用する機器や材料

メインテナンスで使用する機器や材料

 ベトナムで衛生士をしているというと、日本と全く違うことをしているのではないかと思われがちですが、実際は日本で働いているのとそれほど大きな違いはありません。ローカルクリニックや、外資系クリニックだと少し違うと思いますが、私が働くなごみデンタルクリニックは100%日系なので治療の方法や機器、材料などできる限り日本と同じレベルのものをそろえています。

感染予防に関しても滅菌・ディスポなどを徹底し、私たちスタッフも安心して働ける環境作りをしています。クリニック内にいると、「ここがベトナムだということを忘れてしまいそうになるね」と患者さんから言われるほどです。

衛生士業務と事務仕事の両立

衛生士業務と事務仕事の両立

 仕事内容は、日本の医院だと分担されていることが多いので衛生士は自分の業務に専念できるかと思いますが、ここでは日本人は院長と私だけなので、クリニック全体のことも行わなくてはいけません。衛生士業務、受付や書類の仕事、ベトナム人スタッフの指導、院内の環境整備、物品やお金の管理など多岐に渡ります。とは言っても、もちろん全てを一人で行えるわけもないので、任せられる仕事はベトナム人スタッフにお願いしますし、理事達や院長がしっかりと支えてくれます。始めの頃は衛生士業務と事務仕事の両立に慣れるまでは常にバタバタで、時間を上手く使えず仕事がなかなか終わらないこともありましたが、今は自分のなかで一日のスケジュールを立てるようにして、だいぶ余裕をもって過ごせるようになりました。

最近ではそのできた時間で、日本から持って来てもらった歯科雑誌を読むようにしています。日本では常に新しい情報が周りから入ってきましたが、こちらではほとんどありません。しかも私はベトナムに来る前に3年間歯科から離れていたブランクもあるので、新しい材料や保険対応素材が変更になっていたことなど知らないこともたくさんありました。
日本の健康保険は直接使えないのでレセプト業務はありませんが、健康保険に申請する書類作りや、患者さんからの相談を受けたりと、どこにいても新しい情報はどんどん取り込まないといけないなと日々感じています。

スタッフが作ってくれるランチ

スタッフが作ってくれるランチ

 勤務時間は曜日によって少しずつ違いますが、休憩時間はお昼に1時間と診療時間が遅い日は夕方にプラス30分あります。ランチはたまに外へ食べに行きますが、ゆっくりできないのでお弁当を持ってくることが多いです。日本みたいにコンビニでお弁当やパンが買えればすごく便利なのですが、ハノイにはなかなかありません。前日の夕食を多めに作って持って来るという感じです。スタッフもお弁当を持ってくるので、みんなでわいわい食べるのは楽しいのですがたまに問題も…。

ベトナム料理では魚を発酵させて作ったヌックマムという魚醤が欠かせないのですが、その臭いが日本人にはキツくて…。調理の仕方によって臭いの強さが違ってくるのですが、あまりに強いと医院中に臭いが充満ということもあります。さすがに注意はしますが、絶対に持ってこないでとは言えないですよね。でも実際食べると、これがおいしい!! スタッフ特製のヌックマムを使って作ってくれるベトナム料理は絶品です。

東京医科歯科大学名誉教授の和泉先生とお食事

東京医科歯科大学名誉教授の和泉先生とお食事

 日本での勤務と比べると受付や事務の仕事が増えて、歯周病治療や子どもの検診など衛生士業務は減りましたが、ゆったりとしたアポイントで来院する全ての患者さんと必ず接するようになったためか、お話をする機会は多くなりました。

おいしいお店やオススメの場所、趣味の話など、みんな限られたなかで上手く生活するためか、色々なことを知っています。ハノイの日本人コミュニティーも大きくないので、患者さんとの共通の知り合いも多いです。

休憩中にパチリ

休憩中にパチリ

 ベトナムでは医療機関の広告の制限が無いので、歯科医院も自由に広告を出すことができます。編集者の方とミーティングをして、どのような内容で広告を出すのかというのも仕事のひとつです。日本の歯科医院ではもちろんしたことの無い仕事なので、どのような内容にすれば効果的で印象に残るのか、また患者さんの心をつかめるのかというのが毎回悩むところです。

親しみやすさを出すために顔写真を載せたりすることがあるのですが、初めて会った方から「どこかで見たことあるねー」と言われることも。すこし恥ずかしいですが、きっと効果が出ているということですね。

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